レコ屋考(メモ2)

amoeba musicは音楽配信やEコマースが広がる中ですべての音楽ファンそしてフィジカルプロダクト信者のメッカといわれるレコードショップ。Businessweekなどによれば3人の共同創設者が$325,000の準備金でほとんどホームレスが使っていたような荒廃した3,500平方フィート(約325平米、現在は元ボーリング場に12,000平方フィート、約1,115平米の規模に)の店舗を買い上げバークリーに一号店をオープンしたのがそのはじまり。その後、サンフランシスコ、ロスアンジェルスに2店舗(それぞれ一号店の2倍以上の店舗面積)を出店し現在3店舗を運営中。データがちと古いが記事によれば、2005年に業界全体が-7.2%の状況の中、6.5%の伸びを見せ、約$6,000万(約74億円)の売上げを上げていたようだ。どうしてamoebaは音楽ファンを惹き付けるのか。co-founderのMarc Weinsteinが言っているようにその大きな魅力は『Our staff is an all-star team of music retail veterans』(amoeba HPから)といわれる音楽知識豊富なバイヤーによる圧倒的な品揃えにある。取扱い商品数は映像商品を含めなんと約250万タイトル。amoebaはcut-outや中古も取扱っているのでいわゆるビッグチェーン、大型ストアでも実現できない規模の品揃えを可能にしている。加えてabc newsの記事にあるようにインストアイベントなどを店内で積極的に行うなどして音楽ファンのコミュニティの中心として機能しているのも魅力のひとつだろう。しかし、本当の魅力(あるいは魅力の源泉)は何かというとWeinsteinの発言を読めば顕著だが、とにかく一貫性のある、整合性のとれたその経営哲学にあるように思う。是非、リンクしたインタビュー記事やコメントを読んでみて欲しい。その考えの徹底ぶりは素晴らしい。Weinsteinは彼の理想の音楽ショッピングの場所をつくりたかった=『私はみんなが音楽とアーティストに敬意を払ってくれる地域密着型の(コミュニティ型の)のショップを構想していました』、『私たちはマーケットの流行とか常識にまったく影響を受けません、、、』、『メトロポリタンのミュージアムは芸術や歴史については教えますが音楽についてはそういう機関がありません。そういう規模で私たちは大きな存在なんです。』(これ、結構ぐっと来るなー)と頷ける言葉ばかり。またamoebaは音楽プロダクトのリサイクル、環境活動への貢献といったところでも一環した思想に裏付けられた対応を行っている。私の周囲でも日本でamoebaやりましょう、もしくはやりたい、という話をよく聞きくんだけどこの辺をよくよく見て行かないと彼らのビジネスモデルを本当の意味で理解できないし、単にブランドだけこっちに持って来てやるという浅はかなことではユーザーの支持を集めるのは難しいんだろうなと思う。逆風吹き荒れるUSのCDマーケットの中で希有な存在感を発揮し音楽ファンの大きな支持を集めているamoeba music。そういう存在となるにはやはりユーザーオリエンティッドな経営哲学に裏付けられた強い意志、それが不可欠なんじゃないかとWeinsteinの言葉を読みながらあらためて痛感した。それから最後に補足しておくと、amoebaはあたかもリアルショップGEEKの店のように思われがちだけど実はそういうわけでもはない。前回のレコ屋考で紹介したothermusicがそうであったようにネット時代にどう対応して行くかについて彼らの意見と行動はとても明快だ。BusinesWeekのインタビューでWeinsteinは『今後も新店を出すんですか?』の問いに『いいえ出しません。これからはオンラインにフォーカスして行きます。』(理由がシャレていて、いろいろ最高のロケーションを提案してもらうんだけど飛行機に乗るのに時間を費やす生活ってのにあんま興味ないんだよねって、笑)、『デジタルダウンロードの影響は?』の問いに対しては『短期的にはダウンロードは私たちに貢献しますね。私たちの最も音楽知識に長けたユーザー達はダウンロードをリサーチの道具として使っていますよ。ファイル交換は音楽どろぼうの温床のように言われますがむしろユーザーは新しい音楽やアーティストを発見することに利用しています。長期的にはCDは作られなくなりすべてはデジタルダウンロードになりそれは私たちのビジネスにネガティブな影響を与えるかもしれませんが私たちは落ち着いてそれに対処できるでしょう。私たちは音楽配信をプランしています、、、』(以上、2005年の記事)。別の記事(2006年)では共同創設者が次の18ヵ月で彼らのオンラインビジネスを開発することに$1000万〜$2000万(約12億〜25億円)費やすと語った。彼らは彼らの豊かな音楽知識を優れたバイイングモデルと結合して何かを作り出すことができると考えている。とある。このように世界で最も賞賛されるレコードショップの一つであるamoebaであっても時代への対応は積極的でかつタイムリー。ユーザー重視で考えてみれば、至極、当たり前のことなんだけど、実際にはなかなか悩ましい問題であったりするのも事実で。それをamoebaにしろothermusicにしろクリアに語ってしまえるところが何かこの2つのショップの人気を裏付けているような、そんな気がする。(エントリー中の訳は意訳です。ちゃんと原文で確認してね)

この間、朝日新聞のBeに出てたパタゴニアの社長のインタビュー、とても興味深く読んだが、amoebaのWeinsteinのコメントを読んでいると何か同じ匂いを感じる。ある意味、今そしてこれからの時代の経営者像のひとつなんじゃないかな。

Eschewing MP3s for a Modern Music Bazaar via abc news
Make Your Own Kind Of Music via BusinessWeek
Amoeba Music’s Simple Formula via BusinessWeek
amoeba music official homepage
amoeba @myspace
amoeba @flickr

by fushitani | 2007.06.21 04:55:26 | レコ屋, 音楽配信



コメントする

rss feed