ライブの時代

クーリエジャポン3月号の記事『Rock Till You Drop フラット化する音楽ビジネスの世界』でフォーチュン誌に掲載されたLive Nationについての記事が読める。実は今日、たまたまvoice-waveの収録があってそのテーマは『ライブの時代』についてだった。ライブビジネスは全くの門外漢なんで大して面白い話もできず申し訳なかったなぁと思いながら帰りにコンビニによってこれまたたまたまクーリエを買ったらまさにさっき話をしていたLive Nationや360度契約などについて載っていたのでちょっとびっくり(他に以前にここでも紹介した音楽ファンドslicethepieや昨年9月にNY Timesで特集されたリック・ルービンの記事(これは必読)も掲載されている。全文チェックしたい人はこちら)。Live Nationは昨年140億円で電撃的にマドンナと契約し話題となったコンサート事業運営を中心としている会社でマドンナの一件を機に日本でも一気にその名が広まった。これまでアーティストの収益の柱となっていたCDの売上げの比率がライブやマーチャンダイジングなどの売上げの比率と逆転するという状況の中(昨年7月にここでもThe Economistの記事を紹介)、PRINCEが新聞のおまけとしてCDを配布しライブの集客を図るという試みを行ったことで、ポストCD時代のビジネスモデルとして俄然、ライブだねという声が高まった。これをさらにぐんと押し上げたのがLive nationのマドンナ獲得だった。でも考えてみればアーティストはレコーディング作品であれライブであれ彼らのブランドを冠した商品であれ彼らの持っている才能とビジネスポテンシャルを評価し収益を最大化してくれるパートナーを探しているわけでそれは特にライブという部分に偏ったものである必要はないんじゃないかと思うところもあって今日の収録ではそんな話をさせてもらった(マドンナのマネージャーは記事の中で『いまの音楽業界で成功するには、すべてのビジネスに通じた企業じゃないとダメ、、、』とコメントしている)。だけど記事を読んでみて、なるほどだからライブかと認識をあらたにするところも。記事によればLive nationは彼らの取り扱うライブに足を運ぶ年間約3500万人のうちすでに2500万人のデータベースを構築していてこのデータベースを活用したビジネスを展開できるようだ。手元にデータがあるわけではないのであくまで印象の話だけどライブに足を運ぶようなユーザーはアーティストに対してロイヤリティが高いように思うし、そういうユーザーは客単価も高くなる傾向があるのかなと思う。CDを買った人が必ずしもライブに行くわけではないけどライブに行く人はCDを買っている(コピーかもだけど、笑)、、、気がするし、さらにTシャツやステッカー、パンフレットなども買う(でしょ?)。ライブの楽しみにハマるとまた別のライブにもと通う頻度もあがるようにも思う。良質な経験価値の威力は強力だしそれに魅せられたユーザーは優良な顧客となる(だろう)。アーティストとユーザーが直接、しかも太くコミュニケーションできるライブという場所をベースにあらためてアーティストの持つビジネスの可能性を考え、収益の最大化を模索しようというのは単に売れなくなったCDの穴埋めはライブとマーチャンダイジングの収益です、という話よりはぐんと面白みを感じさせる話になりそうだ(あるアーティストが優良なファンのデータベースを持っているというのはこれまでのファンクラブ的なものに留まるがLive nationのような企業が様々なライブに通う2500万人ものユーザーのデータベースをもちそれを活用するとなると。。。)ただ、記事を読むとこの既存のマーケット構造を揺さぶる思い切ったチャレンジも世間で話題になったほどの評価を投資家達からは得られていないようだ(Live Nationの株価はマドンナとの契約の発表後30%以上下がっている)。確かにすでにビッグビジネスを展開しているマドンナのようなキャリアのある超大物アーティストとの莫大な契約金による契約は話題性はあるがそれを生かすプランが具体的に見えてこないと音楽マーケットが成熟産業と見られている今、なかなか評価されずらいところはあるかも知れない。やはりここでもマーケティング的な視点の新しさだけでなく新しいビジネスモデルの提示が必要ということか。。。ともあれ、Live nationのCEOのマイケル・ラピーノ(42歳。まさに同世代、、、)は就任からたった2年で競合を抜き去りコンサート事業で約4600億円(12ヶ月)の売上げをあげた敏腕経営者のようだし、彼の目指す次代の音楽総合企業がどう実現されていくのかこれからも注目してみていきたい。

by fushitani | 2008.02.13 02:27:20 | 音楽ビジネス



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